ハンガリー/エトヴェシュ・ロラーンド大学(Eötvös Loránd Tudományegyetem、ELTE)は、東京大学やポーランドのワルシャワ大学のように、一国を代表するハンガリーの公立総合大学です。 現在も存続しているハンガリー最古の大学で、人文科学から自然科学まで幅広い研究分野を持っています。 今回はエトヴェシュ・ロラーンド大学についてご紹介します。
エトヴェシュ・ロラーンド大学の歴史とキャンパス
エトヴェシュ・ロラーンド大学は1635年に現在のスロバキアにあるトルナヴァ(当時のNagyszombat)でイエズス会系の大学として設立されました。設立当初は人文学と神学の2学部でしたが、その後、法学部や医学部が設置されました。
エトヴェシュ・ロラーンド大学は現在の位置づけとしてはポーランドのワルシャワ大学に近い存在ですが、歴史的な背景から見るとヤギェウォ大学に近いかもしれません。ヤギェウォ大学はポーランド最古の大学で、1364年に法学・医学・自由学芸を学ぶ大学として創設されました。その後、1397年に神学部が設置されています。
大学のキャンパスはブダペストにありますが、「ELTE campus is Budapest itself」(エトヴェシュ・ロラーンド大学のキャンパスはブダペストそのもの)と大学公式サイトに書かれるほど、ブダペスト全体に広がっています。
ブダペストの中心に点在するキャンパスは歴史的な建造物も多く、これらは主として人文科学系の学部や法学部が使っています。一方で、自然科学やIT系の学部は近代的な建物を使用していることが多く、長い歴史がある他のヨーロッパの大学同様、歴史的なキャンパスと近代的なキャンパスが混在しています。
このキャンパスには約38,000人の学生が学んでいますが、そのうち約5,300人が留学生です。ワルシャワ大学も外国人学生の割合が約10%ですが、エトヴェシュ・ロラーンド大学は大学公式の最新値から計算すると約14%で、より高い割合になっています。
エトヴェシュ・ロラーンド大学の学部
エトヴェシュ・ロラーンド大学は、9学部+専門研究教育機関で構成されています。 9つの学部は以下の通りです。
・法学部(Faculty of Law)
・人文学部(Faculty of Humanities)
・理学部(Faculty of Science)
・情報学部(Faculty of Informatics)
・社会科学部(Faculty of Social Sciences)
・教育学・心理学部(Faculty of Education and Psychology)
・経済学部(Faculty of Economics)
・初等・就学前教育学部(Faculty of Primary and Pre-School Education)
・バールツィ・グスターフ特別支援教育学部(Bárczi Gusztáv Faculty of Special Needs Education)
初等・就学前教育学部は小学校教員・幼稚園教員・乳幼児教育者を養成する専門学部です。また、バールツィ・グストゥフ特別支援教育学部は特別支援教育の専門家を幅広く養成してきた、ハンガリーを代表する教育機関です。
エトヴェシュ・ロラーンド大学は心理学、言語学・外国語、歴史・考古学、数学・物理学などに強い総合大学です。
2003年に独立学部になった情報学部も学生に人気のある学部ですが、工学系というより数学・理論寄りのコンピューターサイエンスを教えています。学生の口コミを見ると、「数学が多い」「理論的」という評価が目立ちます。実務的なプログラミング技術だけでなく、数学や理論的なコンピューターサイエンスを重視する教育内容といえます。
エトヴェシュ・ロラーンド大学の授業は研究大学らしく、理論・学術的基礎を重視しつつ、分野によって実践教育を組み合わせる形を取ることが多いようです。
学生の口コミを見ると、特に情報学などでは数学や理論科目の難しさを指摘する声があります。「試験期間(特に口頭試問 Oral Exam)のプレッシャーが大きい」「数学やプログラミングの課題量が膨大」という評価が多く、ワルシャワ大学同様、中東欧の伝統校特有の厳格な評価基準が敷かれています。
エトヴェシュ・ロラーンド大学の学部生向け英語コース
エトヴェシュ・ロラーンド大学の2026/27年度の入学案内では、英語で学べる学士課程として16のプログラムが掲載されています。 (リンク先は大学公式サイトの該当ページです。)
・応用経済学(Applied Economics )
・化学(Chemistry)
・コンピューターサイエンス(Computer Science)
・幼児教育(Early Childhood Education)
・英語・アメリカ研究(English and American Studies)
・ファイナンス・会計(Finance and Accounting)
・ハンガリー語・ハンガリー研究(Hungarian)
・国際ビジネス経済学(International Business Economics)
・国際関係論(International Relations)
・幼稚園教育(Kindergarten Education)
・機械工学(Mechanical Engineering)
・教育学(Pedagogy)
・心理学(Psychology)
・ロマンス語学・文化学(ルーマニア研究専攻)(Romance Philology and Cultures Specialized in Romanian Studies)
・社会学(Sociology )
・特別支援教育(Special Needs Education)
注:機械工学はブダペストではなく、ソンバトヘイのSavaria University Centerで開講されています。
英語で授業が受けられる修士課程のプログラムは数十あります。
まとめ
ハンガリーの名門大学・エトヴェシュ・ロラーンド大学はハンガリーを代表する総合大学だけあって、複数の看板学部をもち、留学生比率も高く、しかも英語コースが豊富です。教育学・幼児教育・特別支援教育など、教育分野にも英語で学べる学士課程があります。
ただし、ワルシャワ大学を始めとした他の欧米の大学と同様、授業や試験は厳しめですので、エトヴェシュ・ロラーンド大学に進学をされるには、それなりに覚悟は必要だと思います。







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