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6. 周辺諸国への留学

ポーランドの兄弟国・ハンガリー

中東欧諸国の1つハンガリーは、歴史的にポーランドと接点が深い国の1つです。「欧州の医学部への留学」でもご紹介しましたが、医学部留学で有名です。ハンガリー留学についてご紹介する前に、今回はハンガリーの基礎情報についてお伝えします。

ハンガリーの地理・歴史

ハンガリーは海がない、なだらかな内陸国で、西にオーストリア、東にウクライナと国境を接しています。面積はポーランドの約3分の1、人口は約4分の1の国ですが、首都ブダペストの人口は約169万人で、ワルシャワの約187万人と比較的近い規模です。

ハンガリーの地方都市は、ポーランドに比べると小規模です。ハンガリー第2の都市デブレツェンは人口約20万人で、ポーランドではこれに近い規模の都市は主要都市ランキングの下位に位置します。

現在、ポーランドとハンガリーは国境を接していませんが、1939年には一時的に国境を接していた時期もあります。ハンガリーとポーランドの友好の歴史は長く、ポーランドとハンガリーには、「ポーランド人とハンガリー人は二人の兄弟(Polak, Węgier – dwa bratanki)」という有名なことわざがあるほど、歴史的に親密な関係があります。

ハンガリーにはローマ帝国の版図であったころからの古い歴史があります。中世にはハンガリー王国が興りますが、14世紀後半には、ハンガリー王ラヨシュ1世がハンガリーとポーランドの両方の王位に就きました。また、16世紀には、ハンガリー王国領トランシルヴァニア出身のステファン・バートリがポーランド王・リトアニア大公となりました。

19世紀の1848~49年には、ハンガリーでハプスブルク家に対する革命・独立戦争が起こり、多くのポーランド人がハンガリー側に加わりました。特にポーランド人将軍ヨーゼフ・ベムはハンガリー軍を率いて活躍し、現在でもハンガリーの英雄として知られています。

第二次世界大戦の開戦時にドイツがポーランドに侵攻した際には、ハンガリー政府はドイツ軍がポーランド攻撃のためにハンガリー領を通過することを拒否しました。1939年には10万人を超えるポーランドの民間人・軍人を受け入れたとするポーランド政府資料があります。

ハンガリー語

このように親密な歴史があるハンガリーとポーランドですが、ハンガリー人とポーランド人は別の民族です。ポーランド人がスラブ系民族であるのに対し、ハンガリー人はマジャル人を中心に形成された民族です。マジャル人の祖先集団はユーラシア西部を移動し、9世紀末にカルパチア盆地に定住しました。

その後、マジャル人はスラブ系住民、ゲルマン系住民、周辺の遊牧民・東方系集団などと長い時間をかけて接触・混合し、ローマ・ラテン系の文化などの西方の文化を取り入れながら、現在のマジャル人となりました。

言語的にはウラル語族に属します。同じウラル語族には、フィンランド語、エストニア語があります。一方、ポーランド語はスラブ語派に属し、チェコ語やスロバキア語と近い関係にあります。チェコ語とポーランド語は語彙や文法に共通点が多く、ある程度の相互理解が可能とされていますが、ハンガリー語とフィンランド語にはそのような関係にはありません。

ハンガリー語もポーランド語も習得が難しい言語ではありますが、ハンガリー語は膠着語的な特徴を持ち、日本語にも膠着語的な特徴があります。そのため、日本人学習者の中には、ポーランド語よりも文法構造に親しみを感じる人もいるかもしれません。

ハンガリーは中欧の文化に、マジャル人の歴史的な東方とのつながりや、オスマン帝国などの影響が重なり、独特の文化を形成しています。

一部の地方では馬術パフォーマンスや牧畜といった形でマジャル人の東方的な伝統が守られていますが、一方で、ローマ時代から温泉が利用され、オスマン帝国時代にも浴場文化が発展したことなど、さまざまな時代の影響が残っています。

東方と西方の文化が融合したものもありますが代表例としてはハンガリーの音楽で、ハンガリーの音楽文化には、マジャル人の民俗音楽に加え、ロマの音楽家や演奏家が担ってきた伝統など、さまざまな文化的要素が影響を与えています。

温泉、音楽以外にも、男女がペアになって踊るチャールダーシュという民族舞踊や、マチョーという刺繍も有名です。チャールダーシュは2024年、マチョーの刺繍文化は2012年に、それぞれUNESCO無形文化遺産に登録されています。

ハンガリーは伝統的にワインを産出しますが、中でもトカイ地方のワインは世界的に有名で、UNESCO世界遺産にも登録されており、何世紀にもわたるブドウ栽培・ワイン生産の文化が残っています。

ハンガリーもポーランドもボローニャ・プロセスに参加しており、学士・修士・博士の3段階を基本とした欧州共通の高等教育の枠組みに沿っています。また、ECTSなどを通じて大学間の単位互換や学修歴・資格の相互認証を進めています。また、欧米の主要英語圏と比較して、学費・生活費を抑えられるケースがあります。

一方、ポーランドは工学・ITなど幅広い分野に強みがあるのに対し、ハンガリーは特に医学・歯学・薬学・獣医学などの分野で、英語による国際的な教育に強みがあります。ハンガリーは特に医学留学が有名で、「英語で医学を学ぶ国際学生を長年にわたって受け入れてきた実績」という点は良く知られています。

次回から、ハンガリー留学の詳細について ご紹介します。

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